2012年を振り返る。 | (株）丸安丸安魚店/さかな家

今年もあと1時間と少しになりました。
なんだかバタバタしているうちに、今年が始まりそして終わろうとしているような気がしています。

今年のお正月は、まだ｢新年がやってきた」ということを喜ぶのがためらわるような雰囲気がありました。
大震災から1年が過ぎ、いろいろなことが動き始める一方、まったく手付かずのこともあったり、なんともバランス感覚に欠ける1年でもありました。
仕事柄、さまざまな変化をお店に入ってくる食材で感じることが多いのですが、それはおすすめメニューにも現れました。
2月の初め、石巻のわかめが初めて届きました。
少しずつではありますが三陸の魚が入ってくるようになり、それを喜んで召し上がってくださるお客様の姿を見て、とってもうれしかったのをよく覚えています。
そうそう、さかな家店主が地元消防団の河川敷焼き払いに参加した時には、娘と2人でいわき市の小名浜の北、中之作の吊るし雛まつりも見に行ったなあ。
津波の被害もまだいえぬ状態ではあったのですが、そんな中でも地域の人が自宅前に毎年と変わらず吊るし雛を飾っていらっしゃる様子を拝見し、｢前むいて進める私たちは、もっとがんばらなくちゃな」と思ったものです。

また、今年も昨年に引き続き『ふくしま手ぬぐい』を製作しました。
思えば、以前は『さかな家のふくしま手ぬぐい』と呼んでいたのですが、思いのほか反響が大きく、そして、ご注文くださった皆さんがメールなどで伝えてくださる「ふくしまへの思い」を感じるにつけ、「さかな家の」ではなく「皆さんの」なのだろうと思うようになり呼び方を変えました。
今年作った｢ふくしま手ぬぐい『一歩』」も大変ご好評を頂戴しました。
とにかく前に向かってがんばれ！というのではなく、それぞれが今いる場所から少しでも前に進めますように、という願いを込めた手ぬぐい。
それが、全国･･いや、世界各地に旅立っていったことは、とても喜ばしいことでした。
右の写真は、お買い上げくださったお客様が送ってくださった1枚。
「ベラルーシの非常事態省で配られて、空気が和んだ瞬間」なのだそう。
チェルノブイリ原発事故の影響やその後の人々の暮らしを視察･現地の皆さんと交流された方が、お土産として持っていってくださったものです。
言葉は通じないけれど、この手ぬぐいに込められた思いが遠くベラルーシの皆さんに通じたであろうことがこの男性の表情から見て取れ、とても感激しました。
この写真は特別なケースではあるけれど、当店から旅立った手ぬぐい1枚1枚に、このようなつながれた温かい思いがあるのだろうと思うと、本当に手ぬぐいを作ってよかったと思わずにはいられません。

お店では、さかな家店主がいろいろな挑戦をしました。
塩麹にはまり、鶏肉にはまり、牛すじにはまり･･･
その度、新しい料理が登場しました。
中でも、各種イベントにも初参加するきっかけとなった｢おらが蒟蒻丼(こんにゃくビビンパ)」は、メニューに関してだけでなくその他の料理のことやお店のことなどさまざまなことが勉強になりました。
｢おらが蒟蒻丼」はこれからも改良を加えながら、大事に大事に育てて行きたいメニューのひとつです。

娘は今年3年生になり、これまで以上にしっかりしてきちゃいました。
手が足りないときは、スタッフの一人として盛り付けや洗い物などを手伝ってくれます。
そんな娘の姿を頼もしいなと思う一方で、やっぱり｢普通の子供らしい毎日を送らせ手やれなくて申し訳ない」という気持ちがどうしても膨らみます。
先日も本当によく｢働いて｣くれた日があり、ありがたくも申し訳ない気持ちでいっぱいだったのですが、お店にいらっしゃったお客様が｢親の背中を見て子は育つんだからね。一生懸命働いてるのがわかるから、ああやって手伝いが出来るんだよ」とおっしゃってくださって、少し心の中の重石が軽くなった気がします。
だからといって、今のままでいいのかと考えるとまたいろいろ考えてしまうのですが、これからも一喜一憂しながら、ともに過ごしていくことになるのだろうと思っています。

最後に。
今年は新しい家族が増えました。ねこの「ちゃとら」です。
突然やってきて住みついた大きなネコで、おなかがすくと半開きの戸から前足を入れようとしたり、玄関脇のしぶき板のところで爪とぎをやっちゃったりすることはあるのですが、仕事に追われている最中に彼（とその仲間の｢ちび」)の姿を見るとなんとも心が和みます。