2017年を迎えるおせち


今年も無事、おせちが完成しました。
毎年、おせちをお渡しする際に必ず「添え書き」も一緒に包みます。
どんな思いで今年のおせちを作ったか、どんなテーマで献立や食材を選んだかなどを書き綴ったお手紙みたいなものです。
今年はこんな感じで書きました。
『不思議な天気の一年でした。昨冬は雪のない珍しい冬景色。暖かい日が続きました。
また熊本の大地震。そして、いつもと違ったルートでやってきた台風。
全国各地で大きな被害をもたらし、各地の農産物・水産物は大打撃を受けました。
例年年末が近くなると食材の値が上がるのは当たり前なのですが、今年においてはそれ以前からも高値が続き、おまけに食材自体が大変手に入りにくい状況でした。
その中でも、地元の食材がふんだんに使えることがいかに贅沢でありがたいことか、身をもって感じた次第です。』
今年は、そんな気持ちで作ったおせちです。

画像は小さいのですが、クリックすると拡大されますよ。

さかな家のおせち 三段重
《祝い肴と口取り》(左上より)
数の子土佐漬 五色なます柚子釜 飴掛けくるみ
紅白蒲鉾 丹波黒豆紅白千代呂木 伊達巻
田作り 栗金団 たたきごぼう二種

例年の定番の料理が並ぶのが一の重。
それだけに、「去年よりもっとおいしいものを」と工夫を重ねるお重でもあります。
伊達巻きは海老のうまみをたっぷり感じていただけるよう、海老を二度挽きしました。
焼き立てはふんわりカステラのようでしたが、それを巻きすで巻いて形作った時にしっとりしながらも、海老のうまみを感じていただけるような仕上がりになったと思います。
たたきごぼうは、従来のゴマを使ったものと鮫川産の荏胡麻を使った2種類の味わいに仕上げました。

《焼き物と酢の物》
天然ブリ西京焼 飛騨牛和牛ロースト 酢蓮
いくら土佐醤油漬け アワビ酒蒸し いかにんじん
紅白きんとん 海老しんじょう雲丹焼き 栗渋皮煮
紅白菊花蕪 サーモン市松 金柑蜜煮 柚子寒天
干し柿のクリームチーズ巻
地物在来種玉合わせ刺身こんにゃく
豪華な食材が並ぶこちらのお重。盛りつけながらもワクワク心躍るようなメニューでした。
写真のいくら、真っ白なのにお気づきでしょうか?
これは、秋のいくらのシーズンの時に店主が仕込みをし、おせちまで冷凍保存をしていたものです。
自然解凍でおいしく召し上がっていただけるので、数年前からこのようにカチカチに凍ったものを入れています。
干し柿や菊花蕪に使った赤かぶは、飛騨から届いた食材。
これらの食材だけでなく、地元の農家さんや卵屋さん、釣り師の皆さんにもいろいろこまごまとしたお願い事(大きさや数、届けてもらう日など)を快く聞いていただきました。
調理場で料理を作った私たちだけでなく、大勢の方のお力を貸していただいて完成したおせちです。

《煮物》
天然鮎昆布巻き さわら柚香焼き 活車海老旨煮
カニクリームコロッケ 合鴨ロース煮 切昆布煮物
ささ身こんにゃく くわい黄金煮 大根たまり漬
ふくさ揚げ含め煮 牛蒡 里芋 椎茸 筍 梅ふ
梅花人参 れんこん 絹さや 木の芽
にぎやかで、見たとたんにワクワクするような三の重になりました。
車海老や天然鮎の昆布巻きなど、豪華な食材を使った料理もあれば、切昆布や大根の「普段のおいしさ」の料理も。
特別で豪華な食材だけでなく、いつも身近にある食材も大事に、家族で囲むおせち料理の大切さを考えて入れた料理です。
ところで去年から連続して入れた「刺身こんにゃく(二の重に入っていますよ)」。
みっちり実が詰まった在来種のこんにゃくを自らすりおろし作った手作りのこんにゃくのおいしさを知っていただきたいということで入れました。
三の重には、煮ると変わる食感を楽しんでいただきたいと、こんにゃく料理をもう一品。その名も「ささ身こんにゃく」。
あっさりしたささ身とたっぷりのショウガのおいしさと一緒にお楽しみいただけると思います。
それにしても「さしみこんにゃく」と「ささみこんにゃく」。
…店主のニヤッとした顔が目に浮かぶようです(笑)

さかな家のおせち 二段重


《祝い肴と口取り》(左上より)
数の子土佐漬 五色なます柚子釜 飴掛けくるみ
紅白蒲鉾 丹波黒豆紅白千代呂木 伊達巻
田作り 栗金団 たたきごぼう二種
数年前から伊達巻と田作り、飴掛けくるみはセットで仕込んでいます。
当店の伊達巻はオーブンで焼くのですが、全部焼き上げて火を落としてから、田作りの材料であるごまめとクルミを天板に広げオーブンに入れておきます。
そのまま一晩おいておくと、余熱で上手に炒りあげることができるのです。これはご家庭でおせちを作られる方にはぜひやっていただきたい方法。
それまでは鍋で乾煎りしていたので、手間と時間がかかっていました。
手間を惜しまず作るおせちですが、時間をうまくやりくりする方法も少しずつ身についてきている気がしています。


《焼き物と酢の物、煮物》
天然ぶり西京焼 飛騨牛和風ロースト 合鴨ロース煮
アワビ酒蒸し いかにんじん いくら土佐醤油漬け
海老しんじょう雲丹焼 天然鮎昆布巻 紅白菊花蕪 金柑蜜煮
紅白きんとん 栗渋皮煮 活車海老旨煮 ふくさ揚げ含め煮
干し柿のクリームチーズ巻 地物在来種玉合わせ刺身こんにゃく
カニクリームコロッケ くわい黄金煮 里芋 れんこん ごぼう 椎茸
筍 梅花人参 絹さや 木の芽
三段重の二の重、三の重から少しずつあれこれお楽しみいただけるように盛り込んだお重です。
紅白きんとんは、金時豆を薄甘くに上げたものと、ふかしたヤマトイモを裏ごしし牛乳と合わせて練った生地を一つにまとめた一品。
ほの甘い料理なのですが、牛乳で練り上げたヤマトイモの風味が和のようでも洋のようでもあり、面白い料理です。

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