※第3回天領酒造 日本酒を楽しむ会 その1.
※第3回天領酒造 日本酒を楽しむ会 その2.に続きます。
去年はお客様がお帰りになり、片付けもだいたい済んだ頃に始まっていた「おかわりの部」。
今年は最後のお客様がもうひと盛り上がりしている頃から、なんとなく三人が集まり当日の反省もしながらあれこれ語り合っていました。
既に答えはこの会の中で出ていたようにも思いながらも、一度杜氏さんに直接伺ってみたかった「良い酒とは?」「良い酒造りとは?」と言う疑問を思い切ってぶつけてみました。
「有機」「無農薬」など材料を厳選し、米の旨みが詰まった部分だけを使うよう限界のところまで磨き上げて作るお酒造りこそが「良い」のか。
杜氏さんの答えは
「普通に毎日飲める酒が旨い、って思ってもらえることこそが『良い』酒造りだと思います」
でした。
純米大吟醸、大吟醸酒は確かにおいしい。でも毎日飲めるかと言うとなかなか難しい。
「普通酒、って言われる酒が美味しいって言われると、うれしいですよ。やっぱり」
杜氏さんは続けられました。
「普段の晩酌とか、食事と一緒に飲むお酒は、あんまり前に出てきてはいけないんです。
華やかな香りのお酒だったり、味の濃いお酒は、場合によっては料理の邪魔になる。
そういう意味で、毎日飲めるお酒が旨いっていうのは本当に難しい。
酒造りの究極は、多分そこを目指していくことだと思います。」
これは、以前矢祭の地酒「南郷」を醸す藤井酒造店の藤井社長もおっしゃっていらしたことです。
また、数年前蔵を伺ったときに拝見した、洗米の様子の話に。
その時の洗米はまず米をネット(スーパーなどで売られているタマネギなどが入っているネット上の袋の巨大版)に入れます。
洗米をする人が3人だったので、三袋。
そして、同じ大きさのたらいにお水を注ぎ、「ヨーイ、スタート!」のかけ声で一斉にネットをたらいに入れ、ひたすら回転させました。隣にはストップウォッチを持った人が時間を計測、「やめ!」と言ったらすぐに水から引き上げ、水を切ります。
米が吸う水の具合を均一化するための工夫。
「でもね、あれ、実はすごくむらが出ちゃうんですよ。洗う人の力加減ってストップウォッチだけでは同じにできないんですよね。」と、杜氏。
「今はね、ものすごくいい機械が入ったんで、ムラが出にくくなりました」と。
「機械化」。
「有機」「無農薬」と並んで「機械化」に敏感なお客様もいらっしゃいます。
機械化するより手作りで作っている酒の方が旨い…と言う、幻想。
「米をね、機械の中にががーっと入れて、スイッチポンで反対側からお酒ができてくるんだったら、やっぱり機械化した酒は旨くないと思うんです。」
「機械を使うかどうか、ではなく、人間が機械を使っているうちはこれまで使ってきた『道具』と同じですよ」と。
たとえば洗米の機械は、微妙な設定の違いで出来上がってきた米の状態が全く違ってくるのだそう。
「それを見てね、昔ネットでぐるぐる自分で洗米していると、どうしてこうなったのか、その理屈がわかるんです。だから簡単に調整が効く。
スイッチポンで勝手に機械が酒を作るとするでしょう?で、全く違ったものができあがってしまっても、なにがどうなってこの結果が出るのか、そこを見極めるのはとっても難しいんです。」
これまで様々な人とお話しする中で湧いてきた、私の中の「良い酒」「良い酒造り」に対するモヤモヤが杜氏さんとお話をさせていただく中ではれてきたようでした。
本当に貴重なお話を、杜氏さんとさしでできたこと。私の中の大切な財産になりそうです。
最後に3人で写真をパチリ。3人ともかなりお酒がまわっているはず(笑)ですが、この表情。
今回の会が、いかに充実したものだったかを思わせる一枚となりました。
そして、ふと気づいた中本さん。
「…あっ!お客さんとの集合写真撮るの忘れた!!!(3回中2度目)」
…また、よろしくお願いします。
片桐杜氏、中本さん、本当にお世話になりました!!
コメント