夏休みの思い出  ++「蔦」++

今回の帰省では、ちょうど日程が重なったこともあり母方の祖父の法事に出席することにできました。
お寺でお経をあげていただき、その後墓参。
久々に集まった親戚との食事会では下二之町の「蔦」さんへ。

 
「蔦」の外観と中の様子


リンドウの形の照明

昔ながらの作りのお店です。
写真では広く見えるけれど、店幅は看板から手前の塀まで。
お店に入ると小さな厨房があって、その奥に座敷が。

女将さんの兄妹で(正確には弟さんと妹さん)料理から何からすべてを取り仕切っていらっしゃいます。
伯父とこちらの女将さんのご姉妹とのご縁が深く、今回此方でやらせていただくことになったのだそう。
皆さんもうご高齢ですが、表情がいきいきと明るく何とも言えない温かい雰囲気に包まれた店内でした。

一部の料理の写真を載せます。是非クリックして大きくしてみていただきたいです。

  
口取とイワナシ三杯酢

 
よもぎ五平もちと鮎の塩焼


豆腐ちり蒸し

 
アユ雑炊 青汁ゼリーメロンとイワナシ添え

料理はこれ以外にも数品出ましたが・・・「感動」の一言です。
高山の真ん中で、昔ながらの料理を今とても新鮮な気持ちで戴けること。
見た目に豪華ではないけれど、一つ一つ丁寧に作っていただいていて、材料にも思いが込められていて・・・
「これ、おいしいですね」というと、あっけらかんとその作り方を一から丁寧に教えてくださる。
もう何十年とここでお店を続けていらっしゃる老舗でありながら、新しい食材をそれとなく取り込んだり、ちょっと遊びをもたせたりして。

ちょうど帰省した時に読んだ本の言葉を借りるとするなら「実質の味」という感じでした。
器も飛騨の焼き物・塗り物を中心に使われていました。
「豆腐のちり蒸し」の器の左側・・・かけた部分をちゃんと接いであります。
そんなところからも丁寧さと器やお店を大切に思う心が伝わってきました。

古民家「風」という雰囲気のお店はあるけれど、こちらのお店に伺って「実質」と「風」の大きな違いがよくわかりました。
「風」はどんなにそれに近づこうと似せてあっても、本物には今日までの「時間の風合い」がちゃんと刻まれているということ。
たとえば、最後の食事の際に出てきた春慶塗のおひつ。
漆の輝きは新品のものとは違う風合い・風格が感じられました。
一朝一夕では出てこない、使ったごとに丁寧に手入れされてきただろうからこそ生まれる味わいが感じられました。
本当に素晴らしいお料理を、素晴らしい空間の中で、楽しいひとときを過ごせました。
技術とかそういうものではない、心にずしんと響く何かを感じ取られるいいお店でした。

「蔦」
岐阜県高山市下ニ之町57-2
0577-33-3549
お食事は要予約だそうです。
写真を乗せた「よもぎ五平餅」は、店頭で販売されているのだそうです。

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