カニクリームコロッケと思い出。

ただいま人気急上昇の「カニクリームコロッケ」。
バターで丁寧に小麦粉を炒め牛乳で伸ばしてつくるのは、正式にはベシャメルソースと言うのだそうですが、私はやっぱり「ホワイトソース」って言っちゃいます。
当店のホワ・・ベシャメ・・・やっぱりホワイトソースだな(笑)は、最初にバターでたまねぎを軽く炒めてから小麦粉を入れて炒めています。
じっくりじっくり炒めている作業と言うのは、単調で結構根気の要る仕事。
時々ムクムクわいてくる「もう、やめちゃおうかな」という弱気な自分と戦いながら(笑)、炒め続けること数十分。
その後牛乳を入れて伸ばし、味を調えてカニ身を入れるところまでで大体1時間くらい。
おかげさまで、この仕事は私の担当になりました。

長い間鍋と向き合っているといろいろなことを思い出したり考えたりします。
一番最初にクリームコロッケを食べたときのこととか。

私が一番最初にクリームコロッケを食べたときのはちょうど今の娘くらいのとき。
厳密に言うと「小学校に入学する直前の冬のある日、父と」です。
食べた場所もちゃんと覚えています。
薄暗い、食事もできる地元の喫茶店です。
私が父と二人っきりで外食したというのが、確かこのときが初めてでした。
6歳だった私が何を食べたかはもうすっかり忘れてしまったのだけど、父が頼んだ「クリームコロッケ」のことは鮮烈に覚えています。
コロッケと言いながら自分の知っている所謂コロッケとは全く違うその食べ物。
衣がサクッとしていて中身がなんだかトロッとしていて、箸の使い方がじょうずな父が食べるのに難儀していたことも覚えています。
初めて食べるその味と、「父と二人っきり」と言うそのシチュエーションが重なって、子どもながらに「大人の時間を過ごした」と言う印象が強く残っているのでしょう。
そんなシチュエーションになったのが、まもなく弟が生まれるときだったか生まれたすぐだったから、と言うこともあったのかもしれません。

思い出とともに覚えている食べ物って結構多いかもしれません。
祖父に連れられて初めて東京の叔父宅に遊びに行ったとき、連れて行ってもらった吉祥寺のファストフード店のシェークの味とか。
母方の祖母が作ってくれた中華そば(ラーメン)や、ナスを大量に入れたせいか不思議と紫色だったカレーライス(そしてなぜかとてもおいしかった)のこととか。
大学受験のとき学食で初めて食べた「コーンラーメン」とか。
きしめん初挑戦だったさかな家店主が、上に乗っているかつお節の大きさと量に驚いていた顔とか。
あるものはその香りと味を覚えているし、あるものはそのシチュエーションだけが強烈に記憶に残っているけど味はすっかり忘れてしまったりいろいろですが。

娘はもうすぐ7歳。
これからいろいろな「思い出の味」を作っていくことでしょう。
もしかしたら、既にいくつかそんな「思い出の味」を持っているのかもしれません。
楽しい思い出とともに心に残ってくれると嬉しいな。

そして、お客様にも。
さかな家の料理とともに、さかな家で過ごしたひとときが「幸せな思い出」として残ってくださったとするなら、こんな幸せなことはないだろうなあ・・・
ホワイトソースが出来上がるまで、木べらを動かし続けながらこんなことを考えているのでした。

+ + + + +
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
『読んだよ』の代わりに押していただけると嬉しいです。

コメント

  1. aoki より:

    いいなあ~
    さかな家さんの「カニクリームコロッケ」を食していないのは
    私だけ…
    寂しいなあ…
    そうだ!出前なんていかがですか?

  2. かま より:

    美味しそうです~

  3. さかな家 より:

    **aokiさま
    そうですねえ、だんな様は先日召し上がったしねえ・・・
    出前と言う手もありますが、「お邪魔して作る」っていう手もありますよ(笑)

    水郡線ふたたび!っていうのも・・・(笑)

    そうそう、「就職試験」のお話伺いました。
    お手柔らかに、でも手厳しくお願いいたします。

  4. さかな家 より:

    **かまちゃん
    また是非召し上がりに来て下さい~♪
    お嬢ちゃま、更に大きくなられたことでしょうねえ。

タイトルとURLをコピーしました