ローシティの謎。

今夜のローシティ。ご常連Hさんによる撮影。

今夜のローシティ。ご常連Hさんによる撮影。


ローシティは、先日メルマガ(11/27 第3199号)でも紹介しましたが、私(おかみ)の思い出の味です。

独身時代、まだ地元で働いていた時に職場の先輩によく連れて行ってもらったスイス人シェフトムさんのお店で出会った思い出の味です。
だいたい行くのは2次会。
ほろ酔い加減で歩いて行くと見えてくるのが赤いとんがり屋根の山小屋風の建物と、スイス国旗。
分厚い木のドアを開けると、室内にはいくつかのハーブを干したものやドライフラワー、それにワインボトルと木の箱などが飾られ、行ったことはないけれどスイスのお宅を訪問したかのような雰囲気でした。
奥の小さなキッチンからトムさんが顔を出し、出迎えてくれるのはいつものこと。
最初にワイングラスとナイフとフォークが出てきて、その後はライ麦のパンとチーズ、そしてローシティ。
一緒に飲むのはスイスワイン。時々どっしりしたケーキを頼んだこともあったなあ。
他にもいくつか料理があったと思うのですが、私はローシティが好きでそればかりを食べていました。
トムさんの作り出す料理はどれも実に素朴でシンプルな味わい。
ああそうだ、ホットワインを知ったのもこちらでした。
雪が降る中みんなで寒い寒いと言いながらトムさんのお店に駆け込み、まず頼んだホットワインの不思議な香りとおいしさ、それにあたたかさ。
はるかかなたのスイスの料理と温かなおもてなしを、十分に楽しめるお店でした。

ローシティは何種類かあったような気がする(記憶があいまい。だってほろ酔いだったから・笑)のですが、それも卵が乗っかってるかとかベーコンが入っているかとかその程度の違いで、基本はたっぷりの細切りじゃがいも、それに塩コショウ。
チーズは入っていたのか、その後の自分のアレンジだったかは定かではありません。
上に乗っかった半熟卵を割ってじゃがいもにからめながら食べたり、そのまま食べたり。
皿についた卵は、じゃがいもかライ麦パンにつけて食べたような気がします。
確か一度直接トムさんに作り方を聞き、それ以来自宅で作るようになったのですが、それがまさか、十数年後にさかな家のメニューに登場することになるとは(笑)

さて。このローシティ。
実は、トムさんのお店でしか見かけたことのない名前でした。
その後時が流れ、いろんな名前でトムさんのローシティのようなものに出会いました。
ジャガイモのガレットとか、パンケーキとか。ハッシュポテトもそう。
でも、トムさんのローシティとは違う。なんというか、それらはどれも豪華で(笑)
素朴さとシンプルさと、あの「カリッとほくっと」がローシティなんだろうと思っていました。

それが今日、Facebookのひょんなご縁からすべてが明らかになりました。
ローシティはローシティなんだけど、どうやらローシティじゃない(笑)
どういうことかというと、facebookのお友達のお友達がまずローシティの現地表記を教えてくれました。
更に発音が聞けるサイト(ja.forvo.com/)も。

ローシティはRöstiであり、スイスドイツ語ではこう発音するのでした。
更に、日本語ではローシティでなくレシュティと書くのが一般的と言うこともわかってきました。
多分ローシティはトムさんの発音を奥さんか誰か日本人が耳にした音をそのままカタカナ表記したものだったのでしょう。
どうりで他では見ないはず。
でも、音を聞いてもローシティにしか聞こえないんですが(笑)

とにかく、ローシティは存在し、スイスでは広く一般的に食べられる国民食であることがわかりました。
作り方も様々で、何が正式なのかはわからないのだそう。
家庭ごとにそれぞれの作り方があり、それぞれが一番だと思っているのでしょうね。
そして、私が食べたのはトムさんが子供のころから食べた懐かしの味だったのかもしれません。

ちなみに当店では鉄板で焼いてそのままお出ししていますが、それは店主のアイデア。
それ以外はなるべくシンプルに、私の中のローシティのイメージ通りに作っています。
ぜひ一度、お試しくださいね。

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