【やまつり再発見】「佐川商店」蒟蒻製粉工場見学。 その1


去る3月14日(水)、地域おこし協力隊の青樹さん・森田さんと一緒に佐川商店さんの蒟蒻製粉工場の見学に行ってきました。
普段良く通る道沿いにある工場なので、いつかは見学してみたいと思っていたのですが、ようやく念願がかないました。
蒟蒻…こんにゃく工場といっても、なじみのない人の方が多いかもしれませんが、「こんにゃく製粉」といっても何のことかさっぱりわからないという方も多いでしょうね。
簡単に言ってしまえば、こんにゃく芋を乾燥させて粉にさせる工場です(そのまんまだけど・笑)。
こんにゃくを作る時、生芋をすりおろして作る場合と、製粉されたこんにゃく粉を使って作る場合があります。
お店でときどきお出ししている刺身こんにゃくは、店主が芋をすりおろして作ります。
生芋から作るこんにゃくにくらべると、粉で作るほうはすりおろしたり沈殿させたり、水を切ったりする手間の分時間も短縮され手軽に作れるのがポイント。
そのせいでしょうか、私の中でなんとなく「こんにゃく粉で作るより生芋の方が手間をかけた分美味しい」と思ってしまっているふしもあります。

さて、工場に到着しました。
佐川商店さんはユーパル矢祭のほど近く、東橋のたもとに道路を挟んで2棟の工場があります。

畑から掘り出したばかりというような土だらけのこんにゃく芋がベルトコンベヤーで運ばれていきます。
「…っていうか、ベルトコンベヤーがこんなところにあったなんて!」という新鮮な驚き。
道路のすぐ脇からこんにゃく芋の旅が始まります。

がーらがーら、回りながら芋が洗われていきます。

芋を洗っているところ。
実は同じような機械が2つ並んでいて、最初は芋だけでガラガラ回され、乾いた土が落とされています。
その後水と一緒になって、細かなところまできれいに洗われています。
この機械を見るのは初めてだけど、こういうシステムは田舎ではよく見ますね。
用水路などでジャガイモや里芋を入れて流れで回す「芋洗い機」。
あれの親分です。
佐川商店さんでは、芋を洗う際に使う水は井戸水を使用しているそう。
川の水などを使って洗浄する工場もあるそうですが、「せっかくだから良い水で」というこだわりがあるそうです。

次はスライス。
上から落ちてくる芋を、クランクシャフトによって前後に動くスライサーでちょうどいい厚みにスライスしていきます。
左の写真、男性陣がのぞき込んでいる部分がまさにスライスしている部分。
従業員さんたちは時々中をこのようにのぞいて、スライスされた芋の厚みをチェックします。

この後乾燥に入るのですが、乾燥機の中はほぼ一定の温度に保たれているため、芋が薄すぎると焦げてしまうし、厚すぎると今度は生乾きになってしまうため、この加減を見極めるのが大切なのだそう。

スライサーの歯。

工場を案内してくださった緑川さんが、ちょうどスライサーから外されていた刃を見せてくれました。
一気に大量のこんにゃく芋をスライスしていくので、当然ながら刃は摩耗していくのだそう。
また、こんにゃくのノリ(とろとろした粘液のようなもの)や皮などが付着したりすることもあるので、適度にチェックしながら作業をしていく必要があるのだそう。

スライスする機械は40年ほど使っているそう。
コンピュータ制御、というより長年の従業員さんたちの経験がものをいう仕事だなあとしみじみ思いました。

ちなみに、こんにゃくの製粉工場が動いているのは秋(10月ころ)から春の始まり(3月ころ)まで。
こちらで働いていらっしゃる方は、普段は農業を営まれています。ちなみに、緑川さんは夏になるときゅうり農家さんになり、当店でも大変お世話になっています(笑)

乾燥時間は1時間40分。
乾燥はさせるけど焦げてはいけないので、乾燥室の中は100℃くらいに調節されているそう。
「乾燥にはA重油を使います。価格が高いのですが不純物が少ないので。」と佐川商店の奥さんが教えてくださいました。
芋を洗う井戸水にしても、重油の質のことにしても、ものすごくこだわりを持って作られているんだなと思いました。

 

完成。
砕いたチップス状のものを「荒粉(あらこ)」と呼ぶ。

北側の工場の仕事はここまで。
収穫されて工場にやってきた芋は、ここで順番に乾燥され、荒粉にして製粉の順番を待ちます。
ここまでの工程で約2時間超。
「洗った芋を置いておくことはできません。ノリが出始めるからです。
ノリが出た状態で置いてしまうと、今度はこんにゃくが固まる力が弱くなっちゃうんです。
だから、とりあえず荒粉にします。この状態なら、しばらく置いておけますから」
と、奥さん。

一袋30kgずつ袋に詰められます。従業員さんが慣れた手つきで台車からくるっとおろし…
足で踏む!
このワイルドな作業にびっくりして、思わず声を出してしまいました(笑)
袋に詰めた荒粉を、その後道路向かいの製粉所に再びフォークリフトで運びます。
そのため、袋の中身が偏らないように上手にパレットの上に積んでいかなくちゃいけないわけです。
「これが一番手っ取り早い」
…なるほど(笑)

 

 

今は様々な需要があり、製粉された商品だけでなく、荒粉の状態で出荷したり、中には洗った状態で出荷することもあるのだそう。
こんにゃくも「生芋仕立て」の需要が高いので、洗った状態でコンテナに詰め業務用冷凍に運んで凍らせるということもしていらっしゃるそう。
昔ながらの機械とは言え、時代のニーズに合わせてさまざまに利用されていることも、今回初めて知りました。

【やまつり再発見】「佐川商店」蒟蒻製粉工場見学。 その2へ続く

コメント

タイトルとURLをコピーしました