高知で揚がった天然ぶりを仕入れました。8㎏ありました。大きい!
ぶりというと冬の日本海、というイメージを持たれるお客さんも多いと思います。富山の氷見のぶりは有名ですね。
そろそろ脂がのったぶりの季節は終わりですが、まだまだ西のほうでは(真冬のころに比べればあっさりしてはいるものの)名残のぶりが揚がっているようです。
店主はぶりが入ると、最初に上の写真のように包丁で引き落とすところから作業を始めます。
魚をさばくときの最初の工程として「鱗を落とす」がありますが、ぶりは体の大きさに似合わずうろこがとっても細かいので、こうして包丁で削ぎ落しているのだそうです。
ん?
そろそろうろこを落とす作業もおわるかなというころ、ぶりの口元にある違和感。
ちょろっと何か、見えるのわかりますか?
…尾びれ。
どうやらこのぶりはお食事中に水揚げされちゃったようです。
口から引っ張り出そうにも無理なので、おなかを開いたところで取り出しました。
・・・キラッキラの鮮度抜群(笑)のアジ。口で止まっていたのでそっくりしています。
(実は同じく仕入れたもう一匹のぶりの口の中にもアジが入っていましたが、それはすでに消化が始まっていました)
ちょっとしたおまけをもらったような気分にもなり、「ぶり仕入れたのにアジの目方の分まで取られちゃったよ」と残念な気分にもなりますが、こればっかりは仕方がない。
魚を仕入れると、時々こういうことがあります。大きな魚のなかから小さな魚が出てくることもあるし、アサリから小さなカニが出てくることも(そういう時は加熱調理後に発見することが多いのでカニも息絶えてしまっています)。イカの場合はワタを外すときに消化管からうろこがどっさり出てくることもあります。
時には内臓を開いたところから、半分消化酵素で溶けかけた魚が出てくることも。
初めて見たときは、ちょっとぎょっとしたりもしましたが、今はついつい興味が勝ってまじまじと「観察」することが多いです。
広い海の中で大きな魚たちはえさを求めて長距離を移動したり、小さな魚は自分より大きな魚に食べられないように群れで泳いだり岩場に身を潜めたりして生きているんだということを、山の中でも実感することができる瞬間です。
また、私たちもそうやって食物連鎖の中にあって、命をいただいてるんだなあと強く感じます。
そう思うと、寄生虫たちも生きるために必死に魚の内臓や身に食いついているのか…
いや、そこは容赦なく取り除きますが(苦笑)
せめてやっていた魚たちはおいしく、余すところなくお客様に楽しんでもらいたいなあと、しみじみ思ったひと時でした。
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