1年。

今年の3.11は、静かに過ぎていきました。
地震がおきた14:46。
お店の周辺はその少し前から車が通る音すらしない、静かな町になっていました。
私とさかな家店主は、あの時と同じお店の調理場の中で数分間の黙祷をしました。
残念ながら亡くなられた多くの皆さんが安らかでありますように、またその家族や仲間の皆さんの悲しみが少しずつ癒えますように、と祈りながら。
また一方で、その瞬間からのいろんなことが、忘れてしまっていたふとしたことまで次々と頭をよぎっていきました。

何が起こるのか、一瞬先のことすら全く想像できなかった頃でした。
でも、改めて思い出してみると恐怖心よりも、「どうにかしなくちゃ」と言う気持ちが強かったような気がしています。

上の写真は、当店の記録の一つ。
毎日の「本日のおすすめ」のファイルです。
真ん中のおすすめメニューは、震災の前日3/10のもの。
その次のページは、3/22。
お店は3月11日の震災当日から13日まで営業しませんでした。
建物や食器、お酒類に被害はなかったけれど、正直「そんな気持ちになれない」といった毎日でした。
14日からはお食事提供という形で営業再開。
まともな仕入れができなかったなか、あるもので対応できるお食事が並びました。
なぜおすすめメニューが3/22に再開したかと言うと、それまでは1種類のお食事だけだったから。
3/22からようやく、メニューを選んでいただけるように(といっても、2択ですが)なったわけです。
いらっしゃるお客様はほとんど決まった方たちでしたが、それでも「来て下さる」という気持ちが私たちのやる気に繋がったし、先に対する不安を少し和げる心の支えでした。

もう一つ、心の支えになったのは、メルマガ。
震災当日以外、営業をしなかった日もずっと毎日メールを配信し続けました。
パソコンが使えない時期は、携帯から。
ご遠方で心配してくださっている皆さんへ「大丈夫だよ」と言うのを伝えるためでもありましたが、メールを書くことで冷静な自分を取り戻すことが出来たように、今思うと感じています。
メルマガ3/12ははかなり緊迫しています。
さまざまな情報に翻弄されていたこと、現実に起こっていることがまだちゃんと把握できていない頃です。

メルマガ3/13-3/17までは、メールを携帯から配信していた時期。
パソコンでネットが使えなかったので、携帯からメルマガ配信サイトに原稿を送っていました。
こうして振り返ると、自分たちが一番大変だと思っていた時期が、思いのほか短くてびっくりします。
そのくらい、濃厚でいろんなことがめまぐるしく変わった毎日だったのでしょうね。

ようやく1年。まだ、1年です。

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