畑は真っ黒くふかふかした土が顔をのぞかせ、種まきや苗植えの時を、今か今かと待っている。
ただ今福島県内は、植え付けを待って欲しいというお達しが県から出ている。
土とか水とか、いろいろを調べるため。そうして、安心と安全を食べる人に届けるため。
人間が放射性物質でバタバタしている間にも、季節はちゃんと春に向かっている。
石垣にタンポポが咲き、紫色の花も去年と同じ所でちゃんと花を咲かせた。
花だけじゃない。草も木も、ちゃんと新しい芽をつけたり葉を広げ始めている。
力強いなあ。
私はいつも、散歩をしながらこの小さな命たちに大きなことを教わっているような気がしている。
もちろん、大量の放射線を日常的に浴びるのは怖い。
私が住んでいる矢祭町の数値は他と比べると少なくて、私自身は「ここは大丈夫」と思っている。
でも、危険だという人もいる(一方で、ここが安全だという見解を示す専門家もいる)。
結局のところ、どうしてこうも見解が違うかということはわからない。
ただ、今一番感じていることは、娘に生まれ育ったこの町をやみくもに「危険な場所だ」と思わせたくないということ。
今後も、いろいろな情報を敏感にキャッチしていかなくちゃと思っている。
いい情報も悪い情報も、両方。
だけど、今はそれらは私たち大人で処理し判断したらいい話だし、もし万が一「避難」となったときに初めて話せばいいことじゃないかと考えている。
それ以外は、どっかり「ここは大丈夫」と娘を安心させてあげることの方が大事だと思う。
毎年同じところに咲くタンポポのように。娘が大好きな春のように。
おかげさまで娘は今も矢祭が大好きだし、ここを「安全な場所」だと思ってくれている。
雨は恐いようだけど。
このところ直売所にはたくさんの花が売られていた。
なんとなく暗い雰囲気が地震の後からずっとそこかしこに漂っていて、それをどうにかしたくて花を買ってはお店に飾った。
娘が興味を持ち、「自分も飾ってみたい」というので直売所で一緒に選んで購入。
香りのいいフリージアと、スイセン。
私自身に生け花の心得もアレンジメントのセンスもないので、全部娘に任せてみたら、ごらんのとおり。
プロの目から見てどうかはわからないけど、なかなか上手なんじゃないかなと思ってお店に飾っている。
もうひとつ。
4月になったら会えるはずだった、「Yamatsuri Queen」ミッシェルからのファックス。
送られてきてからずっと、ときどき目にしては元気をもらっている。
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