先日開催した「天領酒造 日本酒を楽しむ会」は昨年に引き続き天領酒造の中本さんと、昨年の会の終わりに「男の約束をした」という杜氏の片桐さんをお迎えし、盛大に開かれました。
用意したお酒は全部で10種類。そこに特別にご用意したお酒が加わり、全12種類のお酒を楽しむことになりました。
まずは今回ご用意したお酒をご紹介。
(上の写真、左側からお出ししていたお出しした順番ですが、☆印のお酒は入っていません)
・ 大吟醸「吟」
・ 大吟醸天領「別囲い」
☆ 店主秘蔵の酒(後ほどご紹介)
・ 大吟醸ひだほまれ
・ 天領大吟醸古酒(22BY)
・ 純米吟醸ひだほまれ天領
・ 飛切り
(途中休憩)
・ 純米吟醸秋上がり
☆ 「秘密の酒」(後ほどご紹介)
☆ 杜氏さんよりの秘蔵の酒(後ほどご紹介)
・ 天領原酒
・ どぶろく
※写真一番右は、和らぎ水用に準備した天領の仕込み水です
こちらの順番は、天領酒造の中本さんが組み立てた、いわば「この会のためのフルコース」といったところ。
昨年の天領の会の時と比べても種類が格段に増え…てしまいました(笑)
一方、さかな家店主がご用意した料理はこちら。
(右上より時計回りに)
・自家製しおから ・飛騨高根コーンの豆腐 ・だだちゃ豆のペペロンチーノ
・茄子の豚肉包み巻き
・矢祭産たまご 卵黄の味噌漬け ・焼〆さんま ・大根もろみみそ
・生芋こんにゃくの刺身
・銀カレイ西京焼き ・こんにゃく煎り煮 ・谷中生姜
・ビーフカツレツ ・新潟産天然あゆの唐揚
(そのほか写真はないのですが)
・お造り 中トロ ひらめ
店主あいさつの後、片桐杜氏さんからのご挨拶、その後昨年も来てくださった中本さんのご挨拶と続きます。
お客様はまず、片桐杜氏の若さにびっくり。それもそのはず、この会場に集ったメンバーの中で片桐杜氏は3番目にお若いのですから。
でも、言葉の端々から垣間見える酒造りに対する真摯な姿勢や参加者の皆さんからの質問に答える様子などからは、酒造りの一切を取り仕切る当時としての風格が漂っていました。
(余談ですが、冬の酒造りの期間中は社長さんより杜氏さんの方が酒造りに関わる権限を持っているそうです。一切の権限と責任が年齢にかかわらず杜氏さんの両肩にのしかかっているということを知り、改めて杜氏という仕事の大変さを知るのでした)
乾杯はワイングラスに注がれた大吟醸「吟」…なのですが、まず皆さんが口にされたのはタンブラーになみなみ注いだ「水」。
今回のために特別に一升瓶に詰められ送っていただいた「天領酒造の仕込み水」。
こちらは「和らぎ水」としてお酒の合間に飲んでいただくためのものなのですが、今回は昨年の経験から一斗二升用意。
お水を飲みながら日本酒を飲むというのは、舌がリセットされて美味しく飲み続けられるという利点とアルコールが薄まって酔いにくいということもあります。
この飲み方は本当におすすめですよ。
さて、香りを楽しめる大吟醸からワイングラスで試します。普通のグラスで飲むのと印象が違います。
「大吟醸『別囲い』」は今年度新酒鑑評会用に仕込まれたお酒。その後店主秘蔵のお酒が登場。
それは、昨年度の新酒鑑評会で金賞を受賞したお酒。昨年の天領の会の後1本仕入れ、そのまま当店の冷蔵庫で寝かせておいたもの。
「この酒は、もうこの世でこれしかないかもしれないですよ」と中本さんがおっしゃっていましたが、皆さん恍惚の表情(笑)で二つのお酒を飲み比べていらっしゃいました。
その後大吟醸ひだほまれから、同じ大吟醸を4年寝かせた「古酒」へ。
時間の経過とともに変化した味わいの違いを感じながら。
(そしてその間、たくさんの「和らぎ水」をゴイゴイ飲んでいるお客様たちでした)
その後「香りのよいものが続いて鼻が疲れたでしょう?ここでいつものお酒で疲れをとってください」
と、当店でいつもお出ししている「純米吟醸ひだほまれ」と「飛切り」を。
飲みながら、食べながら、杜氏さんや中本さんにお酒についての質問をしたり、店主と会話が弾んだり、またお隣同士お向かい同士でどのお酒が好きかという感想などを言い合ったりと、あちらこちらで大盛り上がりでした。
そしてそのあとは、今回初の試み。「おとなも真剣ビンゴ」を。
今回は空くじなし、商品はすべて飛騨の物(ほとんどが天領酒造関連の物)で揃えました。
「そろわなーい」「まったくあかなーい」などと言っているうちに一人あがり、二人あがり…お酒や飛騨のお菓子、天領食品(天領さんの食品部門)のきのこしぐれや飛騨牛しぐれなど商品をゲットされていました。
ああいう時、無邪気に楽しんでくださるお客様方…素敵です♪
一番最後までビンゴを楽しまれたお客様は、特別に杜氏さんと2ショットの写真を。
貴重な経験です(笑)
ビンゴでしばし酔いを醒ました後、再びディープなお酒の世界へ。
今年の秋の酒「秋上がり」と、「秘密の酒」を飲み比べ。
この「秘密の酒」、昨年好評であっという間に売り切れたという(昨年の)「秋上がり」を中本さんが寝かせておいたもの。
今年の秋上がりは杜氏さんが「敢えて変えてみた」とお話しされていたので、全く同じ酒を寝かせたものとそうでないもの、という比べ方はできないのですが…
そして更に、今度は杜氏さんよりの秘蔵の酒。
こちらは何と、これから販売するという山田錦(精米歩合35%)の純米大吟醸。
まだラベルも決まっていない、という「まだ世に出ていないお酒」を飲むという貴重な経験をさせていただきました。
これも、わざわざいらした戴いたからこその、醍醐味。
そして原酒を飲んで口をきりりと引き締めたところで。
今回1番の反応があった「どぶろく」。
濁り酒全般をどぶろく、と誤解されている方もいらっしゃるのですが、全くの別物。
どぶろくは米と水、麹を発酵させただけの、日本酒の原型。(濁り酒はそうしてできたもろみを粗濾ししたもので、「清酒」に分類されるのだそう)
どぶろくを酒造で造るのには、清酒を作るのとはまた別の免許がいるのだそうですが、天領酒造さんはそれを持っているので製造・販売ができるのだそう。
「とはいえ、一般の人が作るどぶろくと同じではいやなので、かなりこだわって造りました」と、杜氏さんの言葉。
…しかし当店で、濁り酒は鬼門。なかなか飲みたい、とおっしゃる人がいないのです。
ましてやどぶろく。
予想通りお客様のところで注ごうとすると「どぶろく?いんね(いらない)」「ほんの少ーしだけでいいよ、どぶろくは」などという反応。
ところが、ところがです。
一口飲まれたお客様が、「あれ?うまい!」と一言。
「いんね」とおっしゃったお客様も、「少し注いで」と言われ、その後お代わりを。
「甘くない甘酒みたいな、飲んでもさっぱりしているのに、うまみが強い」のだそう。
「あれ?なんでこれ、さかな家におかないの?」とおっしゃるお客様多数。
これは、この冬、人気が出そうです(笑)
その後、第2部は懇親会。
杜氏さんや中本さんにも宴席に加わっていただき、更に深いお酒のお話を聞いたり、一通り飲んでみて気に入ったお酒をさらに飲んでいただいたり。
簡単に言ったら、「大宴会のスタート」というところ。
同じ大吟醸でも、お客様によってお気に入りの一本が違うとか、話をしていた方が好きだというお酒をもう一度試して鮭談議にさらに花が咲いたりとか。
それはそれは楽しいひとときとなりました。
そして、お開き。
驚くべきは、用意したすべてのお酒を飲みほしたわけではないのに、一斗二升のお水はすべて飲み切ってしまったということ。
単純に頭割りすると、明らかに水の方が皆さん多く飲まれているという、事実。
何より、会終了直前に撮った全体写真の皆さんの表情が、深酔い悪酔いをしていない証拠(笑)
今回も大変に盛況のうちに、幕を閉じました。
最後に、今回ご遠方よりはるばるいらしてご参加いただいたYさんより、感想をいただいたのでご紹介。
精米歩合の違い、酒米の違い、熟成との違いなど、「天領」のお酒の裾野の広さを、相性抜群の美味しい肴、やすらぎ水として供された仕込み水とともに、
アットホームな雰囲気の中で、堪能させて頂きました。
なかでも、まだ市販されていないという、杜氏さんの渾身の作「純米大吟醸」の優雅さとふくよかさを併せ持ったお酒の味は忘れられません。
楽しむ会、次の開催も楽しみにしています。
また、ぜひやりたいな。今度は私も一緒に飲んでみたいです。
ご参加いただいたみなさん、どうもありがとうございました。
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