先月の初めから丸安魚店の店内改装工事を行っています。
思い切って手をいれる事になった部分もあり、当初予定よりかなり大掛かりな工事になっています。
…3月の末には、まるで予定していなかった改装。
とはいえ、今回の改装については、「いずれ…」「5年以内くらいには…」という願望がありました。
まさかそのタイミングが今一気にやってくるとは流石に想像していませんでしたが、一つ一つの思いを形にしていけたらなとドキドキハラハラしつつもワクワクしまくっています。
丸安魚店としての営業については、現状の店舗ではお休みをいただいております。
その代わり、テイクアウトという形でさかな家にてお刺身等の受け渡しを続けています。
お客様には驚きとご迷惑をおかけすると思いますが、どうぞ私達と一緒にリニューアルする新しい丸安魚店を楽しみにお待ちいただけたらと思います。
上の写真は今から焼く40年前の写真。
今の店舗が出来上がった直後の頃の丸安魚店です(真ん中に写っているのは店主の母。若い!)。
今の数倍の商品と、タバコ、それにお店の外には自動販売機の数々。
当時は当店のようなお店が町の中にいくつもあって、それぞれの御用達のお店で日々の食事の準備のお手伝いをしていたそうです。
時代が変わり、その後できたスーパーマーケットに人気が集中。
個人経営の食品小売店のいくつかは店を閉め、苦難の時代に入りました。
新たに、店の裏手に飲食店(さかな家)を始めようと店主の父が考えたのも、そうした状況をなんとか打破したいという思いからだったのでしょう。
(ご存じない方のために説明すると、「魚屋が営む飲食店」はもともと店主の父が思いついたアイデアなんです。そのあたりはまた別の機会に・・・)
さかな家が忙しくなってきた頃、丸安魚店は常連さんの注文とさかな家で使う魚の下ごしらえがメインになっていました。
その頃体調を崩していた店主の父の口癖は「もういつ辞めてもいいんだ」でした。
高度経済成長期の大忙しを経験していた父にとって、その後の丸安の静けさはさみしい限りだったのでしょう。
正直、5年前今と同じ状況だったら、今回の挑戦を選んでいたかといえば…多分していません。
コロナ禍によってさかな家を休業し、丸安魚店でご家庭の食卓に上がるお刺身や魚などを提供することになるというきっかけがなければ、丸安魚店を今ほど多くのお客様に知っていただくことも、地域の方々が想像以上においしい魚を食べたいと強く思っていらっしゃることも、知ることはなかったと思います。
コロナ禍のおかげといってしまうのは憚られますが、思いもかけないことから大きな学びを得て今に至っているんだなと改めて感じるエピソードです。
写真ですべて伝わるかわかりませんが、工事開始から最近の様子。
丸安魚店インスタグラムでは、その日ごとの工事の様子をハイライトでご覧いただくことができます。
今回、ちょっと個人的にありがたいなと感じることの一つに、地元の職人さんたちのお力を借りることができたことがあります。
打ち合わせをして図面を引いて…という感じではないけれど、店主のイメージを聞いて専門的な知見からアドバイスをしてもらえたり、新たな提案をしてもらうことができるのは本当にありがたいです。
また、店主にとっても初めての店づくりで戸惑うことも多いながら、料理人・鮮魚店という一面から職人さんからの提案に対して具体的なイメージを更に持ち意見を述べる。
店づくりから地域の力を感じられるのはとても幸せなことです。
また、実は40年前今の店を店主の父が建てたときにお世話になった大工さん、電気工事屋さん、製材所の代替わりした息子さんの手を借りられているのも感慨深いところ。
一つの時代を乗り越えてきたんだなあとしみじみ感じています。
まだまだ工事は続きます。お客様にはご不便をおかけいたしますが、完成をぜひ楽しみにお待ちくださいね。
コメント