2019年を彩るおせち

大晦日18時過ぎにはほとんどすべてのお客様におせちをお渡しでき、当店の2018年の仕事納めとなりました。
11月末あたりからのなんとなくそわそわし始め、日常の忙しさに追われながらも計画を立て、「ま、間に合うのか?汗」と思いながらクリスマスを過ぎて…こうして無事に終わると、それまでのバタバタをすべて忘れて「今年も無事に年が越せるなあ」などとしみじみ思う、そんな一年の締めくくりです。

今年のおせちは、これまで以上に地域の皆さんの協力をいただいて完成しました。以前よりなるべく地のものを使っておせちを作りたい、と思ってはいましたが、なかなか難しく限られた食材以外は外でそろえることが多かったのです。
というのも、何時もお出しする料理なら食材の形や大きさに応じていろいろに使い分けることができるのですが、おせち料理に関しては真逆で、料理に食材の数・形・大きさを合わせて作ります。同じ大きさ・形をそろえようと思うと、それ以上の量を生産しているところにお願いせざるを得ません。矢祭町内は大規模に生産している農家さんが少ないこともあり、これまでは難しいかなと思っていました。
が、今回は直売所の方や生産組合、また地域の釣り名人の皆さんにご協力で、こちらの細かなリクエストに応えていただいただけでなくとても良い状態のものを使ったおせちを作ることができました。
また、矢祭町内に限らず周辺地域の食材も、今回は積極的に取り入れました。
これも、生産していらっしゃる方とのご縁によるものです。つくづく、おせち料理が、人や食材とのご縁や恵みにあらためて感謝しながら1年を振り返りつつ新しい年が良いものになるよう願いを込めるのにふさわしい仕事だなと思った次第です。

さて、今年のおせちです。

さかな家のおせち 三段重

一の重 祝い肴と口取り
丹波黒豆紅白千代呂木 田作り 
数の子土佐漬 
紅白蒲鉾 伊達巻 栗金団 くるみ飴炊き 五色なます ゆず羊羹柚子釜

定番の料理が並ぶ一の重。それだけに、店主も細部までこだわって作り上げます。伊達巻や田作りなどは、毎年少しずつバージョンアップできるよう作り方や味付けなど少しずつ見直しては今年の味を決めているよう。
さらに今年は、現在和菓子職人として活躍する店主が高校時代苦楽を共にした友人にアドバイスをもらい始めてゆず羊羹に挑戦してみました。

二の重 焼き物と酢の物
鰆酒粕漬 アワビ酒煮 絹田巻胡麻酢 
松前漬 えごま豆腐 いくら土佐醤油漬 
めひかり風干し 飛騨牛和風ロースト 
海鮮グラタン柚子釜 穴子八幡巻 
干柿大根巻 茗荷子酢漬 菊花かぶ 
りんごチーズ 野菜コロッケ 菜花おひたし

海のもの、山のものをいろいろ盛り込みました。
以前は飛騨牛和風ローストがかなり目立つ盛り付けだったのに、今は地域の恵みが目立つ盛り付けになっています(笑)
えごま豆腐は郡内の鮫川村産のものを使用。力強い風味になりました。りんごチーズは昨秋
「やまつり旨いもんの会」の初めてのイベントの際にご用意したお弁当の中に入れたものをバージョンアップ。キャラメル煮にしたりんごと10年以上漬け込んだドライフルーツのラム酒漬けを使って洋風な味わいになっています。海鮮グラタン柚子釜もお店で人気のお料理。今年は柚子をいろいろ工夫して使おうというのが店主の裏テーマだったようです。

三の重 煮物
車海老旨煮 天然あゆ昆布巻 鶏豊年煮
天然ぶり西京焼 袱紗揚げ 栗渋皮煮 
金柑蜜煮 サーモン揚げびたし 裏白椎茸 くわい黄金煮 里芋 玉合わせこんにゃく れんこん たけのこ 牛蒡 梅花人参 
梅麩 絹さや 木の芽 空豆

煮物、ってなんとなく地味なイメージを持ちがち…だからこそ、色とりどりにわくわくするような盛り付けにしたいなといつも考えているそうです。それだけに、毎年盛り付けに時間がかかるのが三の重。「梅麩は色が足らないところに適当に」「梅花人参は自然に見えるように」「きぬさやは…」と割と盛り付ける人のセンスによるところが多く、スタッフは頭を悩ませます。今回大活躍したのが、スーパーアルバイト君。料理が好きだという彼は、迷うことなく盛り付け店主の手直しを見て自分で修正し、後半はほぼ手直し無しでも問題がないくらいでした。ぜひ料理の道に!と勧誘したいほどですが、彼は4月から地元企業に就職が決定しております。惜しい人材です(笑)
玉合わせこんにゃくは今年は煮物に。いつもは刺身こんにゃくとしてお出しすることが多いのですが、煮るとまた独特の食感が楽しめ味もしみておいしいです。

 

さかな家のおせち 二段重

一の重 祝い肴と口取り
丹波黒豆紅白千代呂木 田作り 
数の子土佐漬 
紅白蒲鉾 伊達巻 栗金団 くるみ飴炊き 五色なます ゆず羊羹柚子釜

 

こちらは三段重と同様の内容となっております。

二の重 焼き物と酢の物 煮物
鰆酒粕漬 アワビ酒煮 絹田巻胡麻酢 
いくら土佐醤油漬 めひかり風干し 松前漬
海鮮グラタン柚子釜 天然あゆ昆布巻
茗荷子酢漬 野菜コロッケ りんごチーズ 車海老旨煮 鶏豊年煮 サーモン揚げびたし栗渋皮煮 金柑蜜煮 くわい黄金煮 
               菊花かぶ 裏白椎茸 里芋 れんこん 
               玉合わせこんにゃく たけのこ 牛蒡 
               梅花人参 梅麩 絹さや 木の芽

三段に詰めるものを二段にも同様に詰めるというのは不可能ですが、なるべく色々お楽しみいただきたい、と、店主もどれを盛り込むか毎回頭を悩ませています。味や食感のバランスや見た目などを考えに考えた末、選抜チームとして盛り込んでいきました。そのためどうしてもお品書きも長い(笑)

めひかり風干しは、そんな中急遽おせち入りが決まった料理の一つです。どちらかというとハレの日の魚というよりは、日常楽しむケの魚であるめひかり。それを冬の寒風に充てること数日。身はふっくらしっとりしながらうまみが凝縮しています。今回使用しためひかりはいわき産…ではなく、お隣北茨城市久慈浜で揚がったもの。震災以降、やはり数々のご苦労があった久慈浜のめひかりをこんな風に当たり前に使える喜びを表しています。

 

いかがでしたか?お楽しみいただければ幸いです。
ちなみに、歴代の当店のおせちは「さかな家のおせち」としてご覧いただくことができます。当店のおせち料理の変遷です(恥ずかしいなあ…と店主が申しておりますが・笑)。

さかな家のおせち → sakanaya-maruyasu.com/blog/osechi/

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